私たちは,毎日の生活の中でいろいろな問題に直面しています。簡単な問題であれば、すぐに解くことができますが、複雑な問題の答えを見つけるのは簡単ではありません。問題を解決するには,解決の手段や手順を考える前に,問題を整理する必要があります。問題を整理するとは,どのような情報にもとづいて,何を求めたいのか,ということです。また,問題にはさまざまな制約があります。これらを踏まえて,問題を整理し,はじめて問題解決の手段や手順を考察することができます。
ここでは、「モデル化」という手法を用いて、問題の中の必要な対象や要素などを図や表・数式・模型などで表現して整理していきます。そして、「モデル化」した数式などに対して、さまざまな条件を変化させて対象の動作を「シミュレーション」することにより、問題の発見、解決を行っていきます。
コンビニや映画館で行列に並んで待つという経験があると思います。行列の並び方には、大きく左の並び方(パラレル型)と右の並び方(フォーク型)があります。どちらの並び方のほうが待ち時間が少ないでしょうか。モデルを作成してシミュレーションを行い、考えていきましょう。
切符の自動販売機やスーパーの窓口など,客が順番にサービスを受けるために並ぶ行列のことを待ち行列といいます。
待ち行列の分析には以下のような用語が使われます。
窓口 : サービスを受ける場所
到着時間 : 窓口に客が着く時間
到着間隔 : 客が窓口にきてから次の客が到着するまでの時間間隔
サービス時間 : 1人の客が窓口に来てサービスを受け始めてから,そのサービスが終わるまでの時間
平均到着率 : 到着間隔の平均値の逆数(単位時間に何人の客が到着するかを表す)
平均サービス率 : サービス時間の平均値の逆数(単位時間に何人の客を処理できるかを表す)
待ち行列がない場合
窓口に客がいない場合、客が到着したらすぐにサービスを開始できる。
待ち行列がある場合
前の客のサービスが終わる前に次の客が来た場合,後から来た客は前の客のサービスが終わるまで待たされることになる。
【定期到着,定期サービス】
客の到着時間はちょうど 2分
1人あたりのサービス時間はちょうど 4分
【ランダム到着,ランダムサービス】
1人目 到着間隔 0分 サービス時間 6分
2人目 到着間隔 4分 サービス時間 5分
3人目 到着間隔 2分 サービス時間 2分
4人目 到着間隔 3分 サービス時間 4分
5人目 到着間隔 1分 サービス時間 3分